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… 桜花の性 5 …
「あ…ぁ…」
思いの他、それは小さくなっていて、握った片方の手のひらの中で、怯えたようにふるりと震えている。馬鹿、だなぁ…と、そう思いながら、化野は小さなそれを、大事に大事に愛撫してやった。
「く、ぁ…ふ…ッ。あだしの、あだしの…ッ」
ほんの少しも戸惑わず、勿論嫌がったりもせず、優しく愛撫してくれる化野。その、心の篭った触れ方に、ギンコは知らずに涙を滲ませていた。彼の目が涙を零すのと同じように、そこももう雫を零して濡れている。
「なんか、小さくて、子供のみたいだな。もともとお前、ここ薄いけど、なんかますます生えてな…。いて…ッ」
そんな不埒なことを喋っていたら、顎に拳固が飛んできた。悪かった、と素直に詫びて、頭下げついでに化野は顔をそこへと寄せていく。意図がわかってもがこうとするギンコを、押さえつけるのはいつもより簡単で、ちゅる…と吸うようにして口に入れた。
全身を強張らせるように固くして、ギンコは喉の奥で小さな悲鳴を上げている。小さくとも、確かにここは男のそれがあって…なのに、愛撫されてあげる声は女で。
堪らない気分になりながら、化野はそこを丁寧に舐めては吸って、存分に感じさせてやった。絡める舌先に感じるのは、皮を剥いた桃の実のように、柔らかくてつるりとぬめる舌触り。そのとおりに珍しい果実を味わう気分で、執拗になぶる。
ギンコの体は今、基本的には男じゃないから、抗う力は小さく、押さえつけた腕や大腿は細くて、嫌がられても簡単に望みを叶えることが出来た。すすり泣くような声を耳にしながら、焦らしてはなぶり、苛めては待たせ、やっとイかせて貰う時には、もうギンコの四肢はぐったりと力を失っている。
「ひ、…ひど…」
「…すまん。だから逃げてろと、そう言ったろう」
「いまさら」
「男なんか、好きな女の前にいりゃ、みんなこうだ。気ぃ付けとけ」
目の前のそれを、またからかうように舌先でつつくと、ギンコはとうとうイってしまった。先端から熱いものを飛ばしながら、化野の肩にすがって仰け反り、白い綺麗な髪を乱す。短くはない絶頂の間、細い指で肩や背中に爪を立ててくるギンコが、なんとも言えず愛しくて。
化野はさらに愛撫してやろうと、広げた脚の奥へと手を入れた。ギンコはここの、柔らかいところを揉まれるのが弱い。放った直後なんかは特にそうで、終いにはいつも、やめろと繰り返しながら、泣き声をあげるのだ。
「ギンコ…」
「あっ、や、嫌だ…っ、も…」
する、と化野の手がそこを探る。いつものように、そこを手の中に握り込もうとしたのだ。だが、その手が、指先が、いつもとは違う手触りを感じ取って、思わずそこで止まる。
「………」
気のせい、だろうか。と、化野は思った。今のは? 触れるはずのものに触れる代わりに、この指に何かが…。
「……ギンコ、お前。自分でここ、確かめたか…?」
「な、何言っ…」
「…そうか」
そんなこと、する筈が無い。そこを見るなら手鏡が必要だろうし、すっかり脱いで脚を広げて、自分で…なんて、しようとも思わなかった。そりゃあ男のものが小さくなってきてたのは知ってたが、縮んでいてもそれがまだある以上、つまり、女のそれは、先のことだろうかな、と、朧気に思っていた程度だった。
「こりゃあ、その…。ちょっと、見ていいか?」
言うが早いか、化野は近くにあったランプに手を伸ばす。まっち、とかいう舶来の道具を使って、あっという間にほの明るい灯りを灯してしまうのだ。
「いやだ…。や、やめ…ッ」
慌ててギンコが身を起こそうとするのより、化野が強引にギンコの脚を抱え上げるのが早かった。無理やり両脚を広げられ、両方の膝裏をそれぞれの手で持ち上げられ、ギンコはあられもない恰好にされてしまう。
「あぁ、暗くて、あんまりよく見えないな。どら、灯りを…」
「ひ…。か、勘弁してくれ…っ」
暴れても、逃げようはない。四肢からは力が抜けていて、嫌がって身を強張らせたとしても、両脚はなおさら大きく広げられていく。そこへランプの灯りを寄せられ、すっかりすべてを見られてしまった。
「…どうやらお前は今、男でも女でもある、みたいだぞ」
淡々と言われても、ギンコは化野を睨むことしか出来ない。自分のそこがどうなっているのか、気にならないでもなかったが、それを言葉で言い表わされるなどと、嫌に決まっている。なのに化野は、ぽつりぽつりと興味深そうに言うのだ。
「この、陰嚢の下の方、つまりは肛門の手前に、女の…」
「………うぅ…」
「あ…」
あまりにも気付くのが遅かったが、化野がふと見ると、ギンコは黙って泣いていた。ランプの灯りに照らされて、白い頬にはぽろぽろと涙が零れている。小さくしゃくり上げては喘ぎ、唇を噛んで泣き出すのを我慢しながら、ギンコは悪態もつかずに悲しんでいた。
「そんな、泣かんでも…」
「お、俺は、お前に珍しがられるために…っ、だ、抱かれたんじゃな…」
やっとの思いで言った言葉も半端に途切れ、ギンコは両手で顔を覆ってしまった。化野は慌ててランプを吹き消し、ギンコの臍のあたりに小さく口づけをしてやる。
「いや、すまん。つい…。でも、気味悪いとか物珍しいとか、そうじゃなくて、俺はお前がどんなでも、愛しいんだぞ、本当だ」
「………」
「お前が男のままでも女でも、どっちにしても俺好みで、だから、俺がお前以外に目もくれんのを、判ってるだろう。いつもお前だけを待ってるんだし。な?」
「そう…だよな」
「そうだとも! だからもう少し、してもいいよな?」
「……うん…」
化野はほっとすると同時に喜んで、またさっそくそこへ手を伸ばした。今度はどこがどうなってるか判っているから、躊躇いなく真っ直ぐにその場所をなぞり、ギンコはどこをどうされているかもよく判らないまま、怯えたように震え出す。
「ん、…ぅ…。あ、化野…っ」
「痛いか? そうでもないだろう。とびきり優しく触ってるからな」
言葉は嘘ではなかった。化野はギンコの男の部分を少しくすぐり、その後でさらに下へと指を届かせる。さっきはっきりと目で確かめた場所を、今度は指の先だけで、そろりそろりと撫でていた。
柔らかくて肉厚の、しかもしっとりと湿った、大きな花弁を弄っているような感触。その花弁は二枚あり、そっと表面を撫でると、ひくひくと震えながら左右に少し開いた。とろりとぬめるものが溢れている。
「気持ちいいか? ギンコ」
「わ、判るか、そんなの…ッ」
「判らんか、じゃあ…ここはどうだ?」
化野の指が花弁の間で動いた。ギンコはその途端、びくりと腰を跳ね上がらせて、声もなく喘いだ。あまりに感じ過ぎて、悲鳴も出せなかったのだ。
その反応に気をよくした化野は、左手の親指と人差し指で、ギンコの花びらを左右に広げて押さえ、そうやって剥き出しにさせたその場所を、右手の人差し指でゆっくりと弄くってやった。嫌がられてもやめずに、その場所で円を描くように…。
「ぁあ…ッ。ぃやだ…、あだし…っ。ひ…ゃ、あぁぁ…っ!」
長く、細い悲鳴を上げたきり、ギンコは気を失ってしまう。酷いことをしてしまった、と、自覚はちゃんとしていたが、化野は気絶したギンコのそこに顔を埋め、零れた液を舐めてやるまで、彼の体を離す事はなかった。
舌を奥まで思い切り伸ばすと、その中は思いのほか狭い。男の部分をまだ残しているだけあって、女としてのここも、恐らくはまだ未熟なのだろう。指を入れてみても判ったが、浅くてすぐに奥壁に指が届いた。これでは女としてのギンコと、体と体で繋がり合うのは到底無理だ。
「そうか…。残念…」
変に落胆した自分の本心に、後から追い付くように思い当たって、化野は思わず苦笑する。彼はギンコの体に淡い桜色の襦袢を巻き付け、華奢な肢体を抱き上げた。布団を敷いてそこへ寝かせ、その隣に横になって腕に包む。
「お前の産んだ子が傍に居れば、待つのも少しは寂しくなくなるかと、思ったんだがなぁ」
妙なことを呟きながら、ギンコを起こさぬよう、こそこそと大人しく自慰をする化野なのだった。
続
先生。飛躍しすぎ。でもないですか? というか、ギンコと化野先生の子かぁ。いたらイチャイチャしにくくなるんじゃないのかなぁ。なんちゃって、論点違いますねー。笑。楽しみにしてくださる方がいらしたので、ほくほくと書いてみました桜花5!
また変なところで続くですが。先生、せっせと自己処理、お疲れ様ですー。笑。で? まだエチシーンはあるんですか? ←誰に聞いてるのか。
09/04/07
