Voice voice voice … 7





 
 自分のそれに手をそえて、ヒル魔の奥に慎重に近付ける。先端が触れた途端、たかがそれだけの刺激なのに、嗚咽が零れそうになった。

 だって、すげぇ欲しかったから。
 触りたくて、欲しくて…
 カラダ、一つに繋げてぇって、思ってたから。

「い、痛くねぇ…?」

 突き入れたい気持ちを抑えて、そのまんま、もう一回だけ聞いてみる。目の前で脚を広げてるヒル魔が、あんまり綺麗でエロくて、さっきからずっと、頭がくらくらしてる。

「…馬鹿…かよっ、突っ込みもしねぇで、痛ぇわけね…っ…。んッ」

 自分から腰を浮かせて、ヒル魔はそこを俺のに擦り付けてきた。きつくて、そんなんじゃ入っていきっこねぇ。顔を歪め、喉を反らしたままで、奴の唇が声に出さずに何かを呟いてる。

 ハヤク・シロ…?
 早く入れてってこと? それ、おねだりなのかよ。マジ堪んねぇ。

「ヒル魔…っ」
「く、ぅ…う…ッ」

 まだ入ってない。傷つけないように慎重に、閉じた場所を、熱い先端でこじ開けようとしてみる。

 葉柱自身から滲んでくるのと、さっき自分で放ってたヒル魔のとで、そこらへんは全部ぬるぬる。入れんのには多分役に立つけど、入るまでは先端が滑って、照準を合わせにくい。

 その上、ヒル魔はさっきから、腰を時々跳ね上がらせてて、ベッドの上で活きのいいサカナみたい。可愛いけど、困るだろ、入れんのに。

「はぁ…っ。まだ、かよっ、下手くそ…ッ」 
「…るせぇって」
「う…んぁ…ぁ!」

 なんか怒られっかも、なんて、心の何処かで思いながら、葉柱はヒル魔の性器に手を伸ばす。もうすっかり立ち上がって、痩せた腹の方へと反ってるそれを、根元んとこから手のひらで包んでやる。

 愛撫しようってんじゃねぇ。そこを軽く押さえたら、揺れてる腰が止まるかもって思っただけ。思った通り、ヒル魔の体は、一度びくんと揺れた後、強張るようにして竦み上がる。

 位置を合わせやすくなったそこに、狙いを定めて腰を入れた。やっと少し入る。

 すっげぇ圧迫感。先端がちゃんと入っちまうまでは、気持ちいいってより、痛ぇくらいだ。それに熱い。火ぃ点けられてんじゃねぇかってほど。入った途端、ぎゅうっと締め付けられて、目の前が一瞬赤くなる。

「…う…っ、ん…」

 呻いて、顔を歪めながら見ると、ヒル魔も酷く顔を歪めながら、それでも目が笑ってこっちを見てた。

 ああ、やっぱ、これって「罠」? 俺、捕まった…? でも別に嫌じゃねぇ。…ってか、どうせもう、俺はお前のモノ。そんな気合入れて罠にはめなくても、逃げらんねし、逃げねぇし。

「もっと、奥、平気? 痛ぇ?」
「…来れば?」

 ニヤっと笑って、ヒル魔は言う。開きっぱなしの唇から、一筋唾液が零れ落ちた。乱れた金髪が額や首筋に絡まってるのは、滲んでる汗のせいだろう。

「ふ、ぅあぁぁ…ッ!」

 やっと半分、入った。ヒル魔のかすれたような悲鳴が、脳天に刺さる。ヤられてるヒル魔と同じほど、葉柱も呼吸が速い。これ以上は無理をしないで、両脚を両腕で抱え上げながら、ヒル魔の上にゆっくりと身を倒した。

 腹に、熱いものが当たる。無意識に捕らえて、無意識に撫でてやったら、こんな時に似合わない怖い目をされた。

 なんで? 駄目? もっと気持ちよくなると思うけど。だって触っただけで判るけど、このカラダは愛撫を欲しがってるだろ。今度はここが活きのいいサカナみたいに、手の中で暴れまくってる。

「…手…ぇ、退けろっ」
「無理。お前の、可愛がりてぇ」
「てめ…っ。ひぅッ…!」

 奴隷だって、言うコトきけねぇこともある。暴れてるそこを、宥めてやるみたいに、指の腹で撫でた。根元から先端へ。それからまた根元の方へ、小刻みに揺らすように。

 目の前で、見る間に顔を赤らめて、ヒル魔の顔に動揺と羞恥が広がる。葉柱にとって、夢みたいな幸せな光景。

 潤み始めた目で、もう一回だけ、、ギロって睨んで、それきりヒル魔は視線をそらした。その代わり、細い両手で葉柱の腕を掴んで、何とかやめさせようと無駄をする。

 跳ね上がる細い腰。快楽に狂っていきながら、淫らにうねる上半身。そこを襲う愛撫から逃げたくて、葉柱の腕を掴んでいるその指先には、力が強く入ったり、不意にカクンと力が抜けたりする。

 葉柱がヒル魔の性器を弄る為に動かしているのは、殆ど手首から先だけだから、腕を掴まれたって、実のところ何の妨げにもなってない。

「ぁあ…。ん、ふぅ…ッ、うぅっ」

 開いた唇から上がる声が、あんまり色っぽくて聞いてる耳まで溶けそうだ。イく寸前まで、そのまんま無理に追い詰めて、そこまでしてから葉柱はそろりと手を外す。

「ん…ぁ…。こ、んの…っ、んんッ、あ!」

 酷い仕打ちに悪態を付きかけたヒル魔が、弓のように身を仰け反らせ、首を左右に打ち振った。もう一段奥まで貫かれて、先端がイイ場所にかすめる。

 ヒル魔の金髪がますます乱れた。額から汗の雫が飛ぶ。零れた唾液がシーツに染みを作る。

 綺麗だ。
 綺麗で、ほんとエロ過ぎで、見てるだけで気が狂う。
 こんなの、ずるい。酷ぇだろ。
 普段は悪魔なのに、ベッドではこんな可愛いなんて。

 下手すりゃ、銃でも突き付けられて、命じられた通りに抱けって言われるかと思ってた。それでも多分幸せなのに、実際抱いてみりゃ、こんな。

 もっともっと溺れろってか? 何回でもお前の存在に溺れ死ねって? 抱かせてやっから、一生奴隷でいろなんて、そんなの俺ばっか得してる気がするのは、価値観が既に狂ってるからかもしれないけど。

 痛くしないように、慎重に、それでも欲望に負けて深く突き上げると、ヒル魔は細い叫び声を上げながら、葉柱にしがみ付いた。背中に回された腕と、その尖った指先の感触に、いきなり追い上げられて葉柱も精を放つ。

 また目の前が真っ赤になって、殆ど無意識にヒル魔を抱き返す。

 ああ、そういや赤は、お前の色だっけな。
 頭ん中まで全部お前の色に染まっちまったぞ、俺。

 ヒル魔の熱い迸りを、胸やら腹やらに感じながら、葉柱は痺れた脳裏で、そんな事を思っていたのだった。 



                                 続










 こんばんわ、またしてもまたしてもヤりっ放しノベルのお届けです。ああ、私ってホント、ダメダメですよ。シクシク。Hを詳しく書きたいんですけど、そうすると、こんなヤりっ放しな内容にしかならなくてさ。

 しかも全然、ヒル魔さん色っぽくない、可愛くなーーーいっ。これじゃあ、葉柱さんがベタ惚れしている真実味が、欠片もないですありませんか。泣。

 そして私は傍らにいる子を見る。

 白くって綺麗で、柔らかい体で、甘え上手でプライドが高い…うちの猫です。お前、どうやったら素敵なヒル魔さんが書けるか、飼い主に教えてよ。

 猫の手も借りて頑張りたい惑い星でした。アホやー。


07/02/12