葉柱は蛭魔の腰を捕まえて、自分の方に引き寄せる。寄せた下肢の間に、深く顔を埋めたままでだ。口に含んだソレは、精液を弾けさせた名残なのか、まだひくひくと揺れている。
「ん、ん…」
葉柱の喉の奥で、そんなふうに微かな音が鳴っていた。弾けたものを全部飲み終えても、舌を絡めるのに忙しい。
こういうのは、まずいとかヤバイとか、罵られるとか、どう思われるか判んねぇとか、ごちゃごちゃ考える余裕なんか何処にもなかった。
ただ、逃がさないように腰を引きずり寄せ、蛭魔の太ももを開いた形に押さえて、そのまま口で吸った。長い舌を精一杯伸ばして、届くところ全部、舐め回して刺激する。
根元をぐるっと、舌の先で辿るようにした途端、びくっ、と大きく蛭魔の腰が跳ねて、そこも弱いんだと知れた。だからもう一度舌を伸ばして、今度はもっと丁寧に、その場所を愛撫する。
「ん…く…ぅ…。あ、ぁ…ぁ…」
聞いた耳の中が、蕩けてしまいそうな蛭魔の喘ぎ。無理やり抑えて、派手な嬌声を上げないようにしているのか。変にかすれていて、浅い息遣いに絡みつくような、その声。
開かせた脚をそのままに、葉柱は蛭魔の尻の片側に、下から手のひらを滑らせる。本当は女なんじゃないかと思うほど、滑らかで柔らかいその肉を、軽く揉み込んでやる。
そうして、無理に広げた谷の底の、すぼまった場所を探り当てて、中指の腹で、そこをするりと撫で上げ…。
「ぅ、わ…ッ!」
そんなことをやりながら、もうどこかにトリップしたみたいな気分でいたから、いきなりの痛みに、葉柱は最初、何がなんだか判らなかった。彼は蛭魔に、抵抗されたのだ。
さっきからだって、ずっともがいて暴れていた蛭魔の両脚。それでも無理やり押さえつけて、葉柱はその体を逃がさなかった。蛭魔は不意に、華奢な脚の片方を、ぐっと自分の胸に引き寄せ、その足でいきなり葉柱の肩を蹴ったのだった。
遠慮って言葉は、蛭魔の辞書には存在しないに違いない。さすがに吹っ飛ばされはしなかったが、葉柱は、鎖骨が折れちまったんじゃないかと一瞬思った。
「い、いきなり蹴るかよ、てめぇッ」
「…て、ぇ…っ。食い千切る気か?! こ…んの糞奴隷が!」
それでもまだ開いたままに脚を投げ出して、蛭魔は葉柱を怒鳴り返す。怒鳴られながら、葉柱の視線は、精液に濡れたままの白い体に注がれた。
一瞬前まで、彼が口で吸って、舌を絡めていた蛭魔のソレは、ほんのりピンク色に染まってみえる。見ていると、すぐにも喉がカラカラになりそうな淫らな光景。
でも、その淡い色よりももっと強い色が見えた。僅かに目が逸れて、彼の視線は、さっき指で触れた場所に止まるのだ。
血が、滲んでいた。滲んだ血は、尻の割れ目を流れて、シーツにまで赤い色を染みこませている。蛭魔の体中、あちこちに残された暴行の印は、こんな場所にまで。
「さっき、別の日に…っつったのが、聞こえなかったかよ。今日は、このままてめぇとヤれるコンディションじゃねぇ」
「…あ、わ…悪ぃ」
ガクガクと震える脚を隠せずに、それでも蛭魔は無理にベッドを下りた。葉柱の肩に半身をぶつけてよろめき、それでも支えようとして差し伸べられた手を、彼は右手で鋭く弾く。
「触んな…。それとも奴等みてぇに、てめぇも…俺を力ずくで犯すってか? ハバシラ」
その向けられた目のきつさ。だが、彼の唇には、うっすらと笑みが浮かんでいる。
「お、俺は、んなこと…っ」
言いかけた葉柱の言葉など、聞く気もないらしく、蛭魔はよた付きながらバスルームに入って行った。
きつい目で見られて、訳の判らない薄ら笑いを見せ付けられて、それで尚更、性欲を煽られる自分が、どれだけ情けなくても逆らえない。バスルームのガラスのドアが閉じて、その向こうに蛭魔の体が、薄っすらと透けて見えていた。
乾いた喉に、ついさっき買ってきたスポーツドリンクを流し込む。とうに温くなってるし、味なんか全然感じない。さっき蛭魔のアレを洗うのに使ったぬるま湯、間違えて飲んじまってるかと思ったくらいだ。
シャワーの音が、結構はっきり聞こえてる。ガラス一枚向こう、そこに立ってる蛭魔の体が…その白い肌の色が、ガラス越しに動いてる。よく見ると、蛭魔が片手で、シャワーをあそこらへんに持ってって、
もう一方の手をソレに添えてるのが判った。
そう見える、だけかもしれない。ただの妄想だろうか。けど、そうかもとか思っただけで堪らなくなる。葉柱の舌も指も、ソレの感触を生々しく覚えているのだから。
「も…堪んね…。ヒル魔…」
さっきまで蛭魔が体を投げ出してたベッド。そこに坐って、葉柱はジッパーをそろそろと下した。自分の雄を、もどかしげにそこから引き出し、痛いくらい固くなったソレを、指で軽く擦ってやる。
頭の中には、妄想のヒル魔のよがる顔。さっき見た顔よりも、ずっと気持ちよさそうで、素直な顔してて。そいつは最中に葉柱を蹴飛ばしたりしないし、ちゃんと名前で呼んでくれる…。奴隷とか、糞カメレオンとかじゃなくて…。
でも、それは本物の蛭魔と全然違ってて、葉柱の心のどっかがギリギリと痛み出した。それでも、充分過ぎるくらい、オカズにはなったけど。
デカくて、意外と器用な、自分の手の中に、葉柱が熱い欲望を放った時、シャワーの水音が急に止まった。
続
かなり暴走しました。誰がって…うーんと、ヒル魔さんもハバシラさんも、両方だね。エロっぽく!ご希望の方々、このくらいではいかがっすか?
まだまだダメ? だって、これ以上突っ走らせると、本番いっちゃうんだもん。ヒル魔さん、可哀想でしょ? あそこ裂けてるんだろうしねぇ。
まあ、そのうちに、ハバシラさんがヤっちゃったヒル魔さんの、そういう傷に、薬をぬってあげる♪ なんていう、おいしいシーンも書くことでしょう。
も、もちろん、この連載中じゃないよ? もっと先よ? これからもエロく切なく書くつもりなので、これからも二人を見守ってやって下さいませね。
ところで、前回、六話目の壁紙は、母の布団のシーツ。今回は母んちのお風呂場に水かけてそれを撮ったヤツ。勿論、色加工とかトーン加工済ですが、変なものを写す私は、母の目にはどう映ってるのかねぇ…。
へ、変態っぽい? 待って、違うのよ、お母さん! …いや、私、充分、変態かな?
06/09/18
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Trap Collection 7