『 たとえ貴方が狼でも… 5 』
奥に入れた指で、ゆっくり中を掻き回しながら、蛭魔は指先で、瀬那の性器を散々に弄るのだ。
くちゅくちゅという淫らな音が、がらんとした部室の中に響いている。後ろからも前からも、その音は鳴って、どんなにそこが濡れてしまっているか、瀬那にも判った。
「てめぇ、練習あと、どんだけ水飲んでんだ?」
くく…っ、と面白そうに笑う蛭魔の声。快楽に、白く濁った意識の下で、瀬那はぼんやりと考える。
…そんなに飲んでない…。確か今日は、500のペットボトル一つだけだけど…
「カラダん中から、こんな溢れさせて、後で喉、渇くかもな」
「え…?」
ずっと、蛭魔の指に攻められて、先端を撫で回され、根元を摩られ、激しい射精はなくとも、瀬那のカラダは熱い液を滲ませ続けていた。肌の上を、精液が伝い流れ、ぬるつく感触が酷い。
「自分で判んだろ? すげぇ濡れ方してるぜ」
蛭魔に話しかけられ、虚ろだった目が彼の姿を映した途端、いきなり握り込まれ、乱暴なくらいの勢いで上下に擦られて、瀬那は切れぎりに声を上げる。
「や、ぁあ…っ。ひ、蛭魔、さ…。ぁ…んぅ…、ぁああ…ッ!」
最初、小さく射精した時とは、比べられないような激しい絶頂が、繰り返して一度、二度…。あっという間に瀬那の理性は擦り切れて、彼は快楽に溺れ、抵抗する事もなく、されるがままに遊ばれて、嬲られて。
そうして脳裏に火花の散るような、凄まじい痛みが、不意に瀬那を襲ったのだ。最初と同じ姿勢で、ベンチに仰向けにされ、痛みにもがく腕を、栗田の手が押さえている。
蛭魔は瀬那の片方の大腿に腕を絡め、もう一方の手で彼の性器を愛撫しながら、小さく少しずつ体を揺らした。揺れるごとに、熱い塊が、瀬那の内部を広げる。
壊れてしまう…と瀬那は思った。このまま、もっと奥まで熱いものに貫かれて、きっと、体が二つに裂けてしまう…と。
「痛ぇんだろうが、それはちっと忘れてろ。俺の指を、もっと意識しろよ、チビ。そら…」
言いながら蛭魔は人差し指の爪の先で、瀬那の根元をくすぐる。そうしながら中指と親指の腹で、軽く爪を立てたり撫で回したりしてくるのだ。
こんなにも痛いのに、痛み以外の別の感覚が、容赦なく体と心に押し寄せて、そのせいでまた意識が白く濁っていく。心臓ではなく、蛭魔と繋がった部分と、その長い指に弄られている場所が、ビクビクと鼓動を繰り返していた。
身を仰け反らせて喘ぐ瀬那の耳には、クスクスと笑う蛭魔の声が聞こえる。髪を軽く掻き混ぜられ、強引に頭を引き寄せられて、悲鳴を上げかけた唇が、深く塞がれる。
きつく閉じた瞳を、反射的に開く瀬那。怖くても目を閉じるなと命じた蛭魔の言葉は、こんな時でも有効だった。
開いた瞳に映ったのは、額が触れるほど近い蛭魔の顔。閉じた目蓋。その目蓋を飾る長い睫毛。金色の髪は、立たせているわりに柔らかくて、部室のシャワールームにあるシャンプーの匂いがしていた。
蛭…魔、さん…。
口付けされながら、彼の名を呟いた唇に、蛭魔は気付いたのだろうか。彼はキスを解かないままで、薄く目を開いた。
その…苦しいような、微妙な色を浮かべた瞳に、小さく笑みが浮かぶ。そうして唇を重ねている蛭魔の喉から、ほんの僅かだけ上擦った声が零れた。
いつもいつも、飽きるくらい見ている顔の筈なのに、それとは全然違う顔。それは、綺麗な…酷く、綺麗な、蛭魔妖一の、別の顔だったのだ。
そして、顎を仰け反らせ瀬那の瞳に映った栗田の姿。彼は、瀬那がたった今、やっと気付いた蛭魔の姿を、何も言わず、命じられたことに従いながら、そっと見ていた…。憧れるような、静かな目をして、黙ったままで。
ええと、惑い星が一番書きたかったところが、書けたんですけど。ですけどっっっ…玉砕。ドカン…。うう、うう。もう少しヒル魔さんを、綺麗に微妙に書きたかったです。でも力不足は、気力じゃ補えなかった。くう〜。マジ悔しい。
Hシーン、もうすぐ終わりそうですけど、Hが終わっちゃったから〜、なんて、お客様が減ったらどないしょー。Hっち終わっても、もう少しお付き合い下さいねっ。よろしくですぅ。
ああ、いつか、思い通りに綺麗で妖しくて、実はちょっと可愛いところもある、素敵なヒル魔さんが書きたいです。頑張りますっ。
06/06/22
.