『 たとえ貴方が狼でも… 4 』
「く、ふ…ぅあ…ッ!」
奥まで入れられていた長い指を、一気にそこから引き抜かれ、ベンチの上に固く押さえつけられた瀬那の腕は、ガクンと大きく震えた。ついさっき、無理に達かされたばかりの性器が、蛭魔の視線を浴びながら、もう立ち上がりかけている。
「なんだよ。指入れられんのがそんなにイイのか? 初めての癖に、いい反応してんじゃねぇか」
言いながら、蛭魔は瀬那の両腿を、片方ずつの手で楽々と押さえ、抱え上げるようにして左右に開かせた。股関節が痛むほど広げられ、その上で、腰がベンチから浮くように持ち上げられ、性器だけじゃなく、尻の割れ目の奥にまで、蛭魔の視線が届く。
「力、抜いてな」
淡々と言って、指にオリーブオイルを滴らせ、蛭魔はその指先を、瀬那の見ている前で、ゆっくりと擦り合わせた。白い綺麗なその指が、滴るほどのオイルに濡れている。
「力入れて閉じてたって、無理に捩じ込まれるだけだぜ? 痛いのは嫌なんだろう。痛いくらいなら、何でも言うなりになる。お前はずっと、そういう生き方、して来たんだろ? チビ」
相変わらずの毒舌が、その声音のせいで、甘やかに聞こえて、瀬那は僅かに腕をもがかせた。こんなにも酷い事をしようとしているのに、何故そんな声で話しかけるのか。それが余計に残酷な気がして、胸が、酷く痛い。
蛭魔の言葉通りに、どんな事でも言うなりに、どんな事でも許してしまえそうで、そんな自分が信じられない。腕をもがかせている癖に、開かれた脚は動かせず、閉じた場所に蛭魔の指先が触れた。
「…っ。んッ…ぁ、ぁあ…」
最初の時とは違う、息がうまくできなくなるような圧迫感。指を一本だけ入れた時よりもずっと強引に、蛭魔は二本揃えた指を、瀬那の中に飲み込ませた。
指を捻るようにしながらも、広げられているその入り口に、オイルをたっぷり滴らせ、根元まで入れながら、蛭魔は薄く笑う。かすれた声で、彼はそっと瀬那に問いかけた。
「痛ぇか?」
「…ひ…っ、く…。も、もぉ…や…」
「このくらいで音ぇ上げてたら、後が辛いぜ」
蛭魔と視線が合うなり、瀬那は微かに身を捩る。指を入れられた場所が、とろけ出しそうに熱くて、その部分が脈打っているのが判るのだ。その脈動が、彼に知られているという事実が一番辛い。
「おい、デブ。こいつの服を脱がせな。まず、シャツのボタン、全部はずせ」
「う…ん…、判った」
顔を上げもせずに、蛭魔は言った。栗田は瀬那の腕を押さえていた手から、ゆっくりと力を抜いて、その言葉に従う。深い場所を指で抉られたまま、瀬那はベンチの上に、半端に身を起こされて、栗田の手でシャツのボタンを外されていく。
栗田の指は酷く震えていた。指が震えて、震えて、瀬那のシャツのボタンは中々外れない。ボタンが全部外された後で、瀬那の細い腰に蛭魔の片腕が回され、彼の方へ引き寄せられる。
「…い、ッ! ゃあ、あうぅッ!!」
鋭く、悲鳴が上がる。今まで仰向けの格好で、背中から腰までをベンチに置いていたのに、それを一気に引き起こされ、蛭魔の胸に抱き込まれたのだ。
体の奥に食い込んだ、蛭魔の二本の指が、彼自身の体の重みで、さらに奥まで瀬那の体を抉る。膝をもがかせて暴れるが、その足がベンチや床に届くことは無く、爪先が何度も空を切った。
暴れれば暴れるだけ、蛭魔の指が食い込んで、激しい痛みに涙が溢れ出してくる。
「動くんじゃねぇ…っ」
激しい声に、なお涙が零れて、瀬那はいつの間にか、蛭魔の体にしがみ付いていた。
「腕、離しやがれ。服が脱がせられねぇだろう。裸んなりゃ、楽なようにしてやっから…」
こんな時に、また優しい声。蛭魔の肩に顔を埋め、瀬那は怯えながら腕を緩める。後ろにいる栗田が、何も言わずに彼の上着とシャツを、一まとめにしたまま脱がせた。
とうとう、何一つ纏わない姿にさせられて、元の通りベンチの上で仰向けにされ、次々と溢れる涙がこめかみを伝い、髪を濡らしている。
「どうせ泣くんなら、イイ声出して鳴けよ」
そんな酷いことを言われたが、一瞬後には、蛭魔の言葉通りに、上擦った悲鳴を上げることになった。
続
あぁ、さすがに、ここまでくると、Hに積極的に参加していない栗田さんの事を、ちゃんと描写するのが難しかった。瀬那を押さえながら、黙って見ているんですが、あまり描写されてなくても、忘れないでいてあげて下さいっ。←希望。だめじゃん、惑い星っ。
最近、長いHシーン、少し苦手になったよ…くすん。これだけ書きゃ充分ですか? まだまだですか? 瀬那くんに聞いてみましょうっ。…それどころではないそうです。
惑い星はヒル魔さんの声が大好きです。あの声で怒鳴ったり、叫んだり、笑ったり、喘いだり、ヨガったりして欲しいです。こらこら?
攻サマでも色っぽいヒル魔さん。受てる瀬那にまで、綺麗だと言わせかねないヒル魔さん。うっとりですよ。あんだって、栗田くん? ヒル魔を嫌いにならないで? ならないよー。だいじょぶっ。
何をしでかしても、どっか愛されてるヒル魔さん、らぶっ。
06/06/15
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