『 たとえ貴方が狼でも… 2 』
「アメフトのこととなると…素直だな…」
アメフトのことでなくとも、彼は普段から素直で真っ直ぐだ。その素直さに、蛭魔が思わずイラついてしまうくらいに。
蛭魔の顔から微かに笑みが薄れて、彼の視線が瀬那の体の上を動く。喉元から、白いシャツの胸、腹部、それからその下へ。蛭魔の両手は、無造作にベルトに掛かり、カチャカチャと音をさせながらそれを外している。
「や…。なに? ひ、蛭魔さ…。離…して」
途切れがちな言葉で、やっと拒絶した頃には、もうベルトは外れ、ボタンを弾かれ、ジッパーが一番下へと下されていた。
「ちゃんと押さえとけよ、糞デブ」
「や…ぁ…っ」
後ろから、がっしりと腕を押さえ込まれたまま、開いた脚だけで、瀬那はもがく。両脚を交互にばたつかせる、瀬那の動きを利用して、蛭魔は自分では殆ど動かずに、彼のズボンと下着を引き下していくのだ。
靴をはいたままだったから、引き下された服は、くしゃくしゃになって膝下に絡まり、余計に動けなくなってしまう。
「こういうこと、経験あっか? チビ。ねえんだろうな…」
こんなことをされながらも、それでも瀬那は素直に返事をする。もっとも舌が口の中ですくみ上がるようで、まともに声も出せず、ただ彼は首をふるふると横に振っていた。
「じゃあ、自分では? 言ってることくらい判んだろ? 自分で抜いてんのかって聞いてんだぜ?」
怯えた目が、ただ見開かれて蛭魔を見ている。返事をしないことに怒りもせず、蛭魔はかえって面白そうに笑って、瀬那の足に手を掛けた。
「何を知ってて何を知らねぇのかも、ここ、弄ってみりゃ判るけどな」
もぎ取るように片方ずつ靴を脱がせて、それを後ろに放り出し、次は脱がせたズボンを床に捨てる。瀬那は暴れたが、蛭魔の手が、しっかりと足首を押さえているから、抵抗は殆ど形にならない。
膝裏に手を掛けられて、それを左右に開かれる時、瀬那は最後に望みをかけるように、首を仰け反らせて栗田を見た。彼の腕を押さえた、栗田の手のひらには、逆に強く力が入り、彼はぽつりと一言だけ言ったのだ。
「…ごめんね、セナ君。じっとしてれば…すぐ、済むから」
悲しそうな目。済まなそうな言葉。だからと言って、とても堪えられることじゃないけれど、こんなにしっかりと押さえつけられた自分は、もう逃げられないのだと、瀬那は思った。
「く、ふぅ…ッ、ぁ、あ!」
広げられた膝が、ガクリと跳ねる。押さえられ、背中の方へ引き絞られた腕が、無理やり捻るようにもがく。瀬那の指先は、触れていた自分の制服のブレザーの裾を、無意味に強く握り込んだ。
「…い、ゃだあ…ッ」
「まだ…ちょっと触ってるだけだぜ? 瀬那」
ただ、触られているだけ。蛭魔の言葉は嘘じゃない。それが普段、誰かに気軽に触れられるような、普通の場所じゃないというだけの事だった。
蛭魔は右手の指先で、瀬那の性器に触っている。その根元近くを、ほんの微かにかすめる程度、なぞるようにしているのだ。いつの間にか、ベンチの上で体を前に進めて、瀬那の裸の腰を、自分の開いた膝の上に乗せさせて。
蛭魔の腰を挟むように、瀬那の足は左右に大きく開かれて、ばたつかせることも出来ない。制服のシャツを着たままの蛭魔の、丁度臍の辺りに、瀬那の開いた脚の中心がある。
蛭魔は自分の腹の前に片手を置いて、その指の中に、ゆっくりと瀬那の性器を包んだ。少し強く握り込まれただけで、瀬那はもがくことも出来なくなる。栗田は蛭魔に指図されなくても、瀬那の腕を上に上げさせて、ベンチの上に押さえる形に変えていた。
暴れようとすれば、捕らえられたそこを捻り上げられそうで怖い。蛭魔だけでなく、栗田までが自分を押さえ付けている、その事実が、必要以上に瀬那の抵抗力を奪う。
「なんにもした事のねぇカラダだな。ここも…丁度、チビなお前の体格と似合いの大きさで、握ってても指が余っちまう」
言いながら、蛭魔は指を緩々と動かした。逃げられないと諦めたはずでも、瀬那の体が勝手に捩られる。少し冷たい、蛭魔の細い指先。残酷なほど器用なその指が、根元から先端へと、それの表面を愛撫し、先端を舐めるように刺激した。
「あぁ…、ぁあ」
「…我慢しねえでいいぜ」
「や、やめ…っ、ん…、ひ…っ」
「達けよ」
言われた瞬間、瀬那の視界が一瞬白濁し、その体がビクリと跳ねた。蛭魔の着ている制服のシャツ。その腹の部分を濡らすように、半透明の液が微かに弾けたのだ。
続
えーと。ヒル(+栗)×セナ。極悪非道ストーリー、第二話です。とか言って、想像してたより、鬼畜っぽくはなくなりましたね。ちょっと残念、ちょっと、ホッ
あんまり酷いのは、やはりまずいかなと思ってたんで。自然にセーブがかかってるのかなぁ。よく判らないけども。でもさ、H度は上がってきたでしょ? 私的にはまだまだ序の口だけど、読んで下さってる方から見たら、どうでしょうか。
ヒル魔さんとセナの、外見の描写を殆どしていないことに気付いた、たった今。残念だわ。だから次はそこらへん、書くように頑張ってみますね。綺麗なヒル魔さんが書きたいんだもーん。
栗田さんは、もうすぐ退場しちゃうけど、ラストにもまた出てくるよ。大事な役割があるんだー。てな訳で、続きはまた来週?
06/05/28
