ギン化R18(^ ^)v
ただのエロですよ、本当にv
とける、とろかす 1
いつも変なものばかりを持ってくる、馴染みの商人がにこにこと笑って、小さな包みを取り出した。開いて見せたのは白い丸薬で、十粒ほどもあるだろうか。
「先生これね、ちょいと面白い品で…」
「薬か。俺はこれでも医家だから、薬だったら滅多なものは買わないが?」
「まあまあ。これは薬っちゃあ薬だが、体の具合が悪いお人に使うもんじゃぁないんだ。ま、そうさなぁ『具合のよくなる薬』ではあるんだけどね」
商人のにこにこ笑いが、どこか陰のあるものに変わる。声も少しはひそめたろうか、ついつい身を乗り出す化野の耳元に、少しばかり口を近付けて男は言った。
「使えばふわふわぁっと体が気持ちよくなって、イイことがもっとヨくなる…っていう、ほら、分かるだろ…?」
「…ほぅ…」
またおかしなものを、と化野は最初その薬のことをろくに信じなかった。匂いを嗅いだが、ただ仄かに薄荷の香りがするだけだし、信じる馬鹿もおるまいと。だが、一瞬後には体が少しばかり熱くなったような気が。
「…体に障り、とかは、無いんだろうな?」
「勿論、そんなもんがあったらちゃんとそう言いまさぁ。先生や先生の意中の人に、なんかあったら俺も泣かにゃあならんて」
しらじらとそんなことを言う商人に、するりと値を聞いてしまった。値を聞いたらもう買ったも同然と、男は包みを化野の手の中に押し付けてくる。安いとも思わなかったが、払えない根でもなかった。
こちらを向いて欲しい相手が、化野にはいる。男も範疇だとはっきり言う癖、泊まっても何もしてこない相手が。同性なら誰でもいいわけじゃないってことだろうが、俺はそれほど範疇外かと、いつも身の内がもやもやとする。
俺は小さいガキじゃないし、年のいった男でもない。まだ若いし、がりがりでもでっぷり太っているわけでもないんだ。別の男に言い寄られたことだって、何度かある。だから、されてもいいと思った相手が、自分に鼻も引っかけないことが、本当は常に気障りだった。
もしもあと一押しとかなら、この薬で。
一度体を重ねさえすれば、その先はきっと。
そうやって、既にうわのそらの化野に、商人は一応、説明らしきものを付け加える。
「使ったものの話だと、そう強い薬じゃないらしい。怖けりゃ丸薬を一粒の半分にするとか、もの足りなきゃあ、一度に使う量を増やせばいいとか、なんとか…ね。ま、使ってみたかうまくいったか、なんてぇ根ほり葉ほり聞くような野暮はしませんや」
ろくに聞いてもなさそうな化野に、肩をひとつすくめてから、商人は身軽く腰を上げる。いい商売が出来たと満面笑みで、男は縁側から帰って行った。
「まいどぉありっ、先生。またイイもんがあったら持ってきまさ。なんならその手の品をまた、ねぇ…」
商人はさっき帰ったばかりだが、ギンコが来た時どうやってこの薬を飲まそうかとか、化野の頭の中はそんなことでいっぱいになって、既に居てもたってもいられない。いつ来るともしれないあの男を待ちながら、丸薬の包みを眺める日々が始まるのだと思った。
あぁ、もどかしい。明日にでも来ればいいのに。なんなら今日でもいい。待てよ、でも今日急に来たら、準備も何もしていないでは、どうしようもないじゃないか。
思案し、化野は土間へと下りた。かまどに水を張った鍋を掛け、火を入れて湯を沸かす。ほのかな薄荷の香りの薬だが、食べ物に混ぜたら味に出るだろうか。少量の汁に、一粒の半分ほどを混ぜて自分で飲んでみようと思った。
少しなら大丈夫だろう。体が火照って、軽くそう言う気分になるぐらいなら、もうすぐ夜だし、その…ちょっと自分で、してもいいかなと。これまでに、あの男を想いながら弄ったことも一度じゃない。泊まられている時に、隣の布団の寝息を聞きながらしたことも、実は。
それで化野は、作った根菜の汁をほんの少し器に盛って、まな板の上で潰した丸薬の粉を、一つまみ、ぱらぱらとそこに混ぜてみた。箸で掻き回して溶かしてから、匂いを嗅ぎ、飲んでみる。匂いも味も気にならなくて、これなら飲ますのも簡単そうだ。
体の方には変化はなく、ちょっとばかり拍子抜けした。でもまぁ、今のは本当にぱらっとだったから、これで一粒まるまるなら、きっと少しはそういう気分にも…。
「お、いい匂いだな、夕餉かい」
どきりとした。思っていたことがことだけに、動揺して箸を鍋の中に落としてしまった。
「ギ、ギンコ…っ?」
「…あ、なんだよこれっぽっちか? もっと沢山作ってくれよ、腹が減ってんだ」
幸い汁が少なかったから、箸が泳いだりはしていなかった。横から伸べた手で、そこに置かれていた椀を取り、ギンコはそれを勝手に啜った。
「あ」
「ん、なんかこれ味がちょっと変じゃねぇか? 苦みがあるぜ」
「えっ、そ、そうかっ? すまん、もしかしたら野菜に土でもついていたかな」
言いながら、どきどきと胸が高鳴っている。混ぜて溶かした筈の薬が、底に溶けずに残っていたのだと思った。ギンコの顔が間近に見える。舌でも痺れるのか、数回唇を舌先で舐めて、そうしながら彼は咎めるような目で化野を見るのだ。
「その、な…なんともないか? 体が、あ、熱くなるとか?」
「なんで」
「や、別に、なんでも」
「ふぅん…熱くはなんねぇけど、ただ」
ギンコの顔がさらに近くなる。もう首筋に唇が触れそうだ。この距離はどうしたことだろう。これではまるで、その…今から口説かれでもしそうな気すら。
「ただ、やたらと腹が減ってきた。とっておきを、今日あたり、そろそろ喰ってもいいかと思っちまうくらい」
「と、とっておき、って…」
ちゅ…。
首筋にいきなり吸い付かれ、化野は震えた。これは薬の効果なのか? 違うのか? 頭が混乱する。ギンコに聞いておきながら、自分の体が熱くて堪らない。
「あ…。ギっ…ギン…コ…」
「嫌か? そうでもねぇんだろ。ずっと焦らしまくってたからなぁ。うっかりこんな薬に手が伸びちまうんだもんな、相当だ」
「く、薬…?」
くく、っギンコは化野の耳元で笑った。後ろからぴったりと腰を重ねられ、両脇腹に添えられたギンコの両手が、着物の布地を強く擦るようにして、前の方へ、下の方へとずれてくる。
「高かったかい? そいつは俺があの商人に売ったんだ。気持ちよくなる薬だって言ってな。珍しもん好きのお前がそれを買って、どうするのか知りたかった」
まずは自分で試す、とはね。そう、耳朶に熱く囁かれる。耳の下の柔らかな皮膚に触れているのは、気のせいじゃなければ、ギンコの舌先だ。ぴちゃ、と淫らな音が聞こえて、それだけで腰が砕けそうだった。
「いっとくが、紛いもんじゃあないぜ? 化野」
続
2015/03/21
とける、とろかす 2
どうしたことだろう。殆どなんの変化もなかった筈の体が、急激に熱を持ち始める。ギンコが着物越しに触れた部分が特に、熱くて熱くて溶けそうだった。膝から力が抜けて、目の前の竈に掴まりそうになるが、ギンコが寸でのところで止めてくれた。
「火傷しちまう。こっち来な」
「や…っ」
優しく言ってくれたと思ったのに、前に回した手で、ギンコがいきなりそこを握ったのだ。反射的に爪先立ち、逃げたがってもがけば、ゆるゆると揉み込むようにさらに弄ってくる。布越しとは思えないほど感じて、今にもへたり込みそうで、顔を捩じ向けてギンコを見れば、楽しげに笑っている目と合った。
「ギ、ギ…ン…っ。やめッ」
「なんでやめて欲しいって? 手ぇ出して欲しかったんだろ? お前思ってること顔に出過ぎだぜ。俺が寝てると思って、同じ部屋で自慰してたのとか、丸聞こえ」
会いに来るたび物欲しそうな顔をして、風呂上りにわざと着物を緩く着て、無防備に膝を立てて見せたり、酔った振りで体に触れてきたり…。息遣いの音すら全部聞こえるというのに、濡れそぼったあれを扱く音まで聞かされて、どうしてくれようかと思っていた。
「ヤりてぇって思ってたけど、性格が悪ぃもんでね、お前を焦らしてんのが面白くて」
でも、時々は不安になった。まさか俺以外のヤツにも、こんなことしてねぇだろうな、って、そろそろ確かめたくて堪らなくなった。とうとう手を出すんなら、仮に他の誰かと比べられても、圧倒的に俺とがいいって思うように、小細工を、少し。
「ほら、口、開けな」
前を弄られ喘ぎながら、唇の間に含ませられたものに、化野は目を見開く。薄荷の香り。これは、さっきの丸薬だ。それも一錠まるまる。これを飲んだらどうなるか、流石に怖くて吐き出そうとするが、顎を強く掴まれ、口を無理に開けさせられて、舌の奥まで押し込まれてしまった。
口の中で、丸薬が溶けるのが分かる。少し苦い。苦くて、でも溶けると甘かった。自分の体がどんなふうになるのか、怖くなってきて化野はギンコに懇願する。
「い、嫌だ…っ。怖い…」
「死にゃしねぇって、感度が倍に跳ね上がる程度だ。快楽を感じる方に、殆どの意識が取られるから、罪悪感とか理性とか麻痺しちまうけどな。だから絶対、俺以外に…」
いや、何でもねぇ。と、ギンコは言葉を切った。
「奥の部屋、行こうぜ。支えてやる」
力強い腕が、化野を抱きかかえるようにして奥へと連れていく。口の中の丸薬は完全に溶け、苦みも甘みも既に感じない。その代わり、あらぬところが酷く熱くて、歩かされ脚を交互に出すだけで声が漏れそうになる。
「ん…っ、ん…」
下着の布地が擦れて、触れているそれが既に濡れているのが分かる。イったわけでもないのに、先端から滲み出すものは精液でしか
ないのだろう。ぐしょ濡れのそれが気持ち悪くて、取り去ってしまいたい。脱がして欲しいと、勝手に体が求めていた。
珍品の溢れる部屋の真ん中で、化野は仰向けに組み敷かれ、腰の帯を解かれ、着物を左右に広げられた。抵抗なんて、しようとも思えない。全身熱くて怠くて、四肢は投げ出されたままだった。
そんな化野の両膝裏を捕え、ギンコはそれを無遠慮に開いた。まだ締めたままの化野の下帯が、湯気の立ちそうなほど見事に濡れている。楽しげに笑って、ギンコはそこに指を這わせ、布に包まれたそれの形をなぞった。
「は…ぁッ、ぁあ…っ!」
派手に仰け反り、化野は腰をビクビクと揺らす。今ので軽くイったのだろう。震えがおさまるまで、その表情を凝視して、ギンコはおもむろに化野の下帯に手を掛ける。
化野はやはり抵抗などしなかった。震える体で、それでもなんとか腰を持ち上げ、協力すらしてギンコの前に其処を曝す。濡れて気持ちの悪かった布を解いて貰い、ギンコに見られ、今の彼はそれが嬉しくすらあった。
「ギ…ギンコ…」
「んん?」
「し、したかった…のか、俺と、こういう…」
「さっきからそう言ってるだろ?」
答えてやった途端、また化野の性器がひくりと震える。催淫剤入りの丸薬のせいだと分かってはいるが、四肢を開いたまま、そんな反応まで曝している化野の姿は、酷く淫らで…。
「ヤりてぇ、って思われてたのが、そんなに嬉しいかい?」
「…だ、だっ…て…、ずっとなんとも思われてないと…っ。他の男とはする癖、俺には全然そそられないのかと思ったら、く、悔しいし…。つ、辛かったんだ…っ」
「そうかい、そりゃ、悪かったな」
内心を完璧に隠し通せるのも、こういう時に困り者だ。夢ではもう何度も犯しているほど欲しかったのに、まさに今日まで「とっておき」だったのだ。今だってまだ、最後までしようなんて思っていない。手で何回かイかせてそれで充分。今日しなかったことは、また今度に…。
「俺はどうも、好物は最後までとっておく、って癖があるらしい」
「…だからって!」
「悪い、勘弁しろ。してぇしてぇって思いながら、ここまで手出ししなかったのが、その証拠だ。あんまし好みなんで、しちまうのが勿体ねぇかなと」
今も、正直そう思ってる。でもそれを言ったら怒られそうだ。
「ま、今までのことはもういいじゃねぇか」
そろり、手を伸べてギンコは化野のそこら握った。にちにちと音をさせながら、遠慮なく上下に擦ると、一瞬で化野はとろけてしまう。あまりにも快楽が強くて怖いのか、途中で身を起こして足掻いたが、先端をぐりぐりと弄られてまた墜とされる。
片膝だけを救いあげ、肩の上にかついで脚を縦に割り開き、尻の割れ目を愛撫してやると、後穴がきゅ、とすぼまるのが見えた。
「堪んねぇ、けど…」
そこはまた、次の時のお楽しみに。それに催淫剤まで使ってる今、全身のイイところを全部弄ったりしたら、どうにかなっちまうかもしんねぇし?
「気持ちいいだろ、化野」
適度に痩せた腰を、愛撫の動きと同じに揺らしながら、化野は必死に頷く。両腕にまとわりつく着物を、さらに乱して全裸に近い姿をさらしながら、性器の先端から、ぽたぽたと淫らな雫を零しながら、細い声で、化野のは鳴く。
「んっ、ん…ぅっ、あぁ!」
「他のヤツに、指一本触らせんなよ? 丸薬を使う時は一回に必ず半粒。それだけなら薬は一晩持たずに抜けるから、絶対人の目に触れんなよ。見られたが最後、そのケの無いヤツだってムラっときて、お前、ヤられちまうぜ?」
「ま、まさ…かっ?」
反論されて、ギンコは化野の乳首を捩じった。痛みに仰け反って、次の瞬間にはその痛みも快楽に変わり、化野はギンコの手の中に放つ。
「ひ、ぁ…あぁッ、あぁ…!」
「…まさか、じゃねぇって。お前一回鏡見ながら自慰してみろよ、どんだけ淫らだで、ぞくっと来るか、少しは分かるから」
化野の射精の残滓を、ギンコは舐めた。丁寧に、見せつけるように。舌を滑らせるたびに化野は鳴いて、喘いで。まだまだ数時間、飲ませた丸薬の効果は続く。幾度イかせることになるか、ギンコは笑って、脳内でそれを数えることに決めた。
買わせたのも、飲ませたのも俺だ。そのぐらいの責任はとるさ。済むまで誰も来ないよう、せいぜい祈れよ、化野。真面目で好かれている医家先生に、居留守を使わせるのは悪ぃからな。
終
なんか物語が展開しないかなーって思ったんですけど、なんにも展開しなかったので、本当にただのエロに…。すいませんあの…欲求不満の解消ぐらいには役立つだろうか? 本番すらしてないから、駄目か…。
またノリノリでエロが書ける時が来たら、何か置きに来ますねーっ。
15/04/29