壊れた時計の、時計未来様から頂いた、マ王小説です。頂き物の中の唯一の小説です。時計様のサイトの10001番を踏んで、ニアピン賞ということで書いて貰ったもの。

 惑い星の大好物のヨザコン〜♪ 別れを予感する、ヨザックの切ない気持ちが痛くって、そこが好きなんだーとか、にんまりしてしまうのですよ。壁紙は夕暮れのそらなので、小説のシーンとは違うのですが「別れ=恋の夕暮れ時」かな〜とか思って選んでみました。

 相手を思う心に「依存」という言葉を使うヨザック。そして、恋の終わりに、破綻という名をつけて…。そんな彼だというのに、そっとしたキスは痛々しくもどこか甘くて…。

 この小説内には描写がないですが、私の頭の中には「激しくも優しい」ヨザとコンのベットシーンがあったりして、萌っっ。そんな萌え心と切なさを与えて下さり、ありがとうございました! 










予  感





 なぜか、違和感を覚えた。疲れ果てて眠っているコンラートに…。

―― こいつのいる場所は、ここじゃないんじゃないか ――

 新しい王の戴冠式があると聞いて、急ぎ戻った俺の目に映ったこの国の新しい王は、まだまだ幼くて…。けれど、その王の横にいるコンラートは妙に楽しそうで…。
 消えるはずのない場所から消えてしまったその新しい王…式場内は騒然となり…眞王の巫女の言葉で落ち着いた。
 そしてその後は何事もなく…俺はいつものように閣下に今までいた土地の動向を報告して、夜、これもまたいつものようにコンラートを求めた。

 何かが違っていたわけじゃない。行為も、こいつの漏らす声もいつも通りで…それでも俺は、違和感を覚えてしまったのだ。
 あの少年王の横で楽しそうにしているこいつのことが頭から離れなくて、あの少年は彼女ではないのだと言いたくて…言えなくて…だって俺は、こいつが最初っから彼女と彼を別人格で認識してたと知ってたから…そう、嫉妬したんだと、自分自身を納得させるように俺は激しい行為をこいつに望んだ。
 
 一度目の行為の後、コンラートが何か言いたそうにしているのに気づいて、俺はさらにその体を貪ることで言葉を止めさせ、意識を手放してしまうほどに、攻め立てていた。

 それは…予感…。何十年も思い続けて、こういう関係になって20年余り…。その関係が不動のもので、ずっと続くのだと信じているほど幼くもなければ純心でもないけれど、その予感は辛かった。

………別れの予感………

 こいつを初めて抱いたとき、もう昔の関係には戻れないと思うと恐ろしかった。それでも、今の関係を築くことが出来て良かったと、そう思えていたのに…。
 考えれば考えるほど、その違和感は激しくなり、予感は確かなものになる。こいつと離別して、俺とこいつは昔のような幼なじみの関係に戻ることはできるのか…。
 予感はいつしか確信に変わり、俺は自分とコンラートのこれからを思っていた。
 こいつに、別れの言葉を言わせてはいけない、と思う。後まで引きずってしまう奴だから…。ずっと引きずって、きっと昔の関係には戻れなくなる…。
 だからといって…こちらから別れ話を切り出すには俺はコンラートに依存しすぎている…こいつはそんなこと、露ほども思ってやしないだろうけど…。
 俺からは言えない、コンラートからは言わせたくはない…。けれど、そう遠くない将来、俺たちのこの関係は破綻するだろう。
 そのときに、こいつの取る行動は? 俺は?
 できるなら、昔の幼なじみの関係に戻れることを…。

 今はまだ恋人のこいつの額に俺は優しく唇を落とし、眠りにつく。この予感が、目覚めたときには単なる取り越し苦労であったと笑えることを祈りながら…。それは、儚すぎる願いであったけれど…。


                             END
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