文 : なにがし
絵 : それがし
「 は や る 気 持 ち 」
「ギンコーーーー!!!!」
「!!!???」
ギンコはたった今蟲煙草を咥えたばかりだというのに、思わずあんぐりと口を開けてしまった。
ぽとりと葉巻の煙草が落ちる。
その煙草がむなしく横たわるギンコの足元の土と、確かに地続きであるこの道の彼方から、
馴染みの海里に住む医家先生が、尋常ならぬ速度でこちらに向かって駆けてくる。
いや、駆けてくるだけならば、ギンコはここまで驚かない。
ギンコがここまで驚くのも―――その紛れも無く医家先生である化野が、犬のごとく四つん這いで走っている。
器用に両手両足をそれぞれ繰り出しながら、走ってきている。
つらい体勢だろうに化野は、懸命に顔を仰向け、ギンコに満面の笑みを見せてくる。ちかちかと片眼鏡に夕陽が反射する・・・
11/11/26
そして続き小説 わたがし